心臓の筋肉に酸素と栄養を送りこむ血管(冠動脈)が動脈硬化や血管の痙攣(けいれん)発作で狭くなり、胸の中央から左側に締めつけるような痛みの発作が出て、病状によっては命に関わる病気です。
年間600〜800例前後の入院患者さんを診療しています。一定の運動時や、夜間~明け方の安静時に胸が締め付ける症状が出る場合は外来受診をお勧めします。
詳しく見る循環器内科は、胸や背中が圧迫されたり重苦しい時(狭心症や心筋梗塞)、息切れや息苦しさがある時(心不全)、動悸がしたり脈が乱れたりする時(不整脈)に受診頂いて診療を行うところです。また全身の血管の動脈硬化の診療も行っていますので、胸やお腹の動脈の病気(大動脈瘤)や足の血管が細くなり長く歩行ができなくなる病気(閉塞性動脈硬化症)、足がむくんできた場合(静脈血栓症)に対しても診療を行っています。
病状次第では手術が必要な場合がありますので心臓血管外科の先生とのチーム医療の体制をとっています。その他では、複数の血圧の薬を内服してもなかなか血圧が下がらないようなやっかいな高血圧の方の診療も行っています。心臓や血管の病気は全身の諸臓器と関連がある場合が多いので、糖尿病・内分泌・代謝内科や腎臓内科、呼吸器内科や消化器内科と連携をとりながら総合的に患者さんを診察しています。
また入院患者さんでは心臓リハビリテーションを積極的に導入しています。
心臓の筋肉に酸素と栄養を送りこむ血管(冠動脈)が動脈硬化や血管の痙攣(けいれん)発作で狭くなり、胸の中央から左側に締めつけるような痛みの発作が出て、病状によっては命に関わる病気です。
年間600〜800例前後の入院患者さんを診療しています。一定の運動時や、夜間~明け方の安静時に胸が締め付ける症状が出る場合は外来受診をお勧めします。
詳しく見る心臓の筋肉に酸素と栄養を送りこむ血管(冠動脈)が詰まってしまい、心臓の筋肉が動かなくなる病気です。胸の締め付けや圧迫感が突然起こり30分以上続くことで診断されます。そのまま放置すれば30%前後は死亡してしまうような、大変危険な病気ですので一刻も早く治療が必要です。当科では救急車の受け入れを24時間体制で行っています。
詳しく見るいろいろな心臓の病気で心臓の動きが弱くなり、息苦しさや疲れ身体のむくみなどが生じて日常生活ができにくくなる病気です。
年間200〜300例の入院治療を行っていますが、慢性的に長く付き合っていく必要性がある病気です。また治療が難しい場合でもいろいろな機械(ペースメーカーや人工呼吸器)を併用し治療します。
不整脈とは、通常は規則正しい心臓の拍動が速くなったり遅くなったりする病気です。放置してもいいものから命に関わるものまでさまざまです。速い脈(頻脈)でお困りの場合、電気治療で治す方法(アブレーション)や、特殊な機械を使用した治療(植込み型除細動器)を行っています。遅い脈(徐脈)の場合は内服のほかに機械の治療(埋込型ペースメーカー)も数多く行っています。
主に足の動脈が狭くなったり詰まったりして、歩く時の疲れや痛み、さらに悪くなるとじっとしているときにも痛みがでたり足の指に傷ができる病気です。年間200例以上の診療を行い内服治療やリハビリテーションに加え、切らずに血管を拡げる治療(バルーンやステントでのカテーテル治療)や必要に応じて外科での手術、傷がある場合は形成外科の先生と一緒にその治療など、積極的に取り組んでいます。
心臓には4カ所に弁(血液の流れる方向を一定方向に整理する開き戸)があります。弁の開きや閉め具合がうまくいかなくなる場合として、弁が十分に開かなくなり心臓の中で血液の流れを妨げる狭窄(きょうさく)症と、閉まりが悪くなって血液の逆流をおこす閉鎖不全(へいさふぜん)症があります。悪化するといずれもやっかいな不整脈や心不全になることがありますので、健診などで心臓に雑音を指摘された場合は受診をお勧めします。
内 容 | 件 数 |
---|---|
心臓カテーテル治療 | 208 |
末梢血管治療 | 69 |
ペースメーカー治療※ | 86 |
アブレーション | 116 |
TAVI | 18 |
心臓リハビリテーション | 5,590 |
※ 植え込み型除細動器(ICD)、 心臓再同期療法(CRT、 CRT-D)を含む
内 容 | 件 数 |
---|---|
狭心症 | 223 |
不整脈 | 217 |
心不全 | 189 |
末梢動脈疾患 | 70 |
急性心筋梗塞 | 63 |
弁膜症 | 31 |
大動脈・肺血管疾患 | 13 |
心筋症・心内膜炎 | 9 |
先天性心疾患 | 1 |
現在は非侵襲的なCTやMRIでの検査も有用になりつつありますが、心臓カテーテル検査は心臓疾患の診断と治療の中核機能と位置づけられます。以前は大腿(そけい部)つけ根から穿刺し長時間安静が必要でしたが、現在は手首や肘からの穿刺で手技が可能となり検査後の苦痛軽減にも役立っています。
検査に関して、当院では1992年から最も小さいサイズ(4フレンチ=直径1.3mm)のカテーテルを使用し、2泊3日あるいは忙しい方は1泊2日入院で行っております。
治療はバルーン(風船)拡張、ステント(金属のメッシュ状の筒)、ロータブレーター(人工ダイヤモンドで血管内を削る)を症例に応じて使用しています。平成16(2004)年から本邦で薬物溶出性ステント (Drug Eluting Stent;DES)が保険認可され、2007年9月からはDESも2種類が使用可能となりカテーテル治療の“アキレス腱”であった再狭窄の減少が得られ、抗血小板剤の長期服用などの制限はあるものの当院でも良好な初期・遠隔期成績を得ています。 また、当院で開発された特殊ポンプを用いてパルススプレー状に血栓溶解薬を投与するPulse Infusion Thrombolysis(PIT)は、急性心筋梗塞、冠動脈バイパス術後の静脈グラフト病変、深部静脈血栓症や、肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミー症候群)などの血栓性の血管疾患に対して適宜使用し、他院では不可能とされる難治性血栓性病変への特殊治療において非常に良い結果を得ています。
今後もエビデンスに基づき患者さんのための検査、治療を目指したいと考えています。
心不全とは、多くの臨床症状を総称する症候群であって病名ではありません。
心筋症、高血圧、心筋梗塞、弁膜症などあらゆる心疾患の終末像ともいえます(心臓以外の原因で発症することもあります)。
現在わが国の心不全患者数は推定150〜200 万人で特に高齢の患者さんが増加しています。心不全の原因となった基礎心疾患にも左右されますが、基本的にお薬による内服療法が中心です。また、弁膜症など弁の修復、置換で治療出来る症例は心臓血管外科で開胸手術をして頂きます。心臓移植も外科的な選択の一つですが日本では症例があまり増えていません。そのような中で、重症で難治性の心不全に対しては両室ペースメーカーCRTが平成16年から保険認可され、当院でも植え込み術を行っております。ペースメーカーの古典的な考え方は、脈の遅いこと(徐脈)に対しペースメーカーという機械を体内に挿入し脈を補助するという考えですが、この両室ペースメーカーは全く概念が異なり、一言でいえば、まとまりのない低下した心臓を強制的にペーシングし(電気的に刺激する)、同期させてバランスよく収縮させるという考えです。さらに、心不全では致死的不整脈による突然死のリスクがありますので、植え込み型除細動器ICDの機能を併せもった両室ペースメーカー(CRT-D,両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器)が平成18年に保険認可され、心不全の予後を改善することが期待されています。(当院は、CRT、CRT-D、ICD植え込み術の施設基準認定を受けています)。
心臓の血管が詰まると心筋梗塞、頭の血管が詰まると脳梗塞になることは御存知かと思いますが、下肢の動脈が狭くなったり閉塞したりして、歩行時に“ふくらはぎ”が痛くなることがあります(間歇性跛行)。閉塞性動脈硬化症ASOといって最悪な場合、下肢切断を余儀なくされることがあります。このASOに対しても冠動脈疾患と同じように積極的にカテーテルによる風船拡張、ステント植え込み術を行い良好な結果を得ています。
また、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症などのいわゆるエコノミークラス症候群に対しても、パルススプレー状に血栓溶解剤を投与することにより、少ない血栓溶解剤と短い時間で血栓を溶解が可能となりました。さらに、縮小、吸引することによって血流回復をはかり、下肢の腫れや息苦しさの改善を得ています。
さらに、薬物抵抗性の高血圧症例の中に、腎動脈狭窄による腎血管性高血圧症が含まれるときがありますが、当院では腎動脈の拡張、ステント留置により血圧の安定をはかる専門的なカテーテル治療も行っております。
図1:下肢MRI、右下肢の大腿動脈が閉塞していますが、カテーテル治療でステント挿入し歩行時のふくらはぎの痛みは消失しました。
図2:深部静脈血栓症の症例、カテーテル治療前後での所見です。上図は腫張した下肢で、下図は治療後です。
判断に困るような症例の心電図を送信していただければ、担当医が解読して返事いたします。 まずは、循環器内科病棟医もしくは森久にお電話頂きFAXをお送り下さい。
※心臓病カンファレンスだよりは 「病院広報誌くまちゅうNAVI」へ移行しました。