任意型乳がん検診コースの選び方
大きく分けて、
・「乳がんの発症リスクが高い人」向けの検診コース(乳房造影MRI)
・「一般的な乳がん検診の対象外・不適当となる人」向けの検診コース
があります。
順を追って、「乳がんの発症しやすさ」や、「個人の身体の状態」を評価して、それに応じた検診コースを選択します。
- はじめに、「乳がんの発症しやすさ」についてのリスクを評価しましょう。「遺伝性乳がんのリスク」、「高濃度乳腺」の2つについてチェックして下さい。
- 「遺伝性乳がんのリスク」、「高濃度乳腺」のどちらかにあてはまる項目があった場合は、乳がんの発症リスクが一般の人より高いと考えられますので、「乳がんの発症リスクが高い人」向け検診コースをお勧めします。
- 「遺伝性乳がんのリスク」、「高濃度乳腺」の2つについてあてはまる項目がなかった場合は、乳がんの発症リスクは一般の人と変わらないと考えられますので、基本的には一般的な「対策型乳がん検診」の受診をお勧めします。マンモグラフィー検査による一般的な「対策型乳がん検診」ができるかどうかについて、「個人の身体の状態」をチェックしてみましょう。
- 「個人の身体の状態」にあてはまる項目がなかった場合は、マンモグラフィー検査による一般的な「対策型乳がん検診」に支障はありません。地域住民の乳がん死亡(死亡率)を減らすため、自治体などが40歳以上の女性を対象として2年毎に実施していますので、各自治体の窓口や市政だよりなどを参考にして下さい。
- 「個人の身体の状態」にあてはまる項目があった場合は、マンモグラフィー検査による一般的な「対策型乳がん検診」ができないと考えられます。当院で提供する「一般的な乳がん検診の対象外・不適当となる人」向け検診コースの中から選択可能なものがあるかどうかチェックしてみましょう。
遺伝性乳がんのリスクの簡単チェック
ご本人について、あてはまる項目がありますか?
□「遺伝性乳がん」の因子を持っている
□「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と診断されている
□以前の乳がん検診で「高濃度乳腺」を指摘されている
□以前「乳がん」で手術などの治療を受けていた
ご本人やご家族・親戚の人について、あてはまる項目がありますか?
□40歳未満で乳がんを発症した人がいる
□乳がんを2個以上あるいは2回以上発症した人がいる
□男性で乳がんを発症した人がいる
□本人を含め家族に乳がんを発症した人が3人以上いる
□トリプルネガティブの乳がんといわれた人がいる
□卵巣がん(卵管がん・腹膜がん含む)の人がいる
□検査などでBRCAの遺伝子変異が確認された人がいる
あてはまる項目がある人は、遺伝性乳がんである可能性が一般の人より高いと考えられますので、乳房造影MRIコースをお勧めします。
高濃度乳腺のチェック
マンモグラフィー検査で、以前、「高濃度乳腺」と指摘されたことがありますか?
以前、「高濃度乳腺」と指摘されたことがある人は、乳がんを発症する可能性が一般の人より高く、マンモグラフィー検査だけでの発見が不十分になりやすいと考えられますので、乳房造影MRIコースをお勧めします。
「遺伝性乳がんのリスク」、「高濃度乳腺」の2つについてあてはまる項目がなかった場合は、乳がんの発症リスクは一般の人と変わらないと考えられますので、一般的な「対策型乳がん検診」の受診をお勧めします。マンモグラフィー検査による一般的な「対策型乳がん検診」ができないかどうかについてチェックしてみましょう。
個人の身体の状態のチェックリスト
以下に該当する場合は、マンモグラフィー検査に危険性を伴いますので必ずお知らせ下さい。
□40歳未満の若年女性
□遺伝性乳がんの発症リスクが高い場合や高濃度乳腺
□乳房の皮膚に露出する病変やケガがある人
□妊娠中・授乳中の人
□「心臓ペースメーカー」や「植え込み型除細動器ICD」などの医療機器
□中心静脈カテーテル・ポートの鎖骨下への埋め込み後
□乳房インプラント、生理食塩水バッグ、シリコン注入など
□「放射線やマンモグラフィー検査による有害反応」が起こる人
□男性
あてはまる項目があった場合は、マンモグラフィー検査による一般的な「対策型乳がん検診」ができないと考えられます。当院で提供する検診コースの中から選択可能なものがあるかどうかチェックしてみましょう。
一般的な乳がん検診の対象外・不適当となる人
40歳未満の若年女性
40歳未満の若年女性については、もともと乳がんの罹患率が低く、また、20歳台など若い時期の乳房の放射線被曝により乳がんの発症リスクがかえって高まることが知られていることから、「対策型乳がん検診」の対象とされていません。
ただし、遺伝性乳がんの発症リスクが高い人には、乳がんのスクリーニングが望ましいとされており、乳房超音波検査(エコー)や乳房造影MRIによる検診を検討します。
乳房の皮膚に露出する病変やケガがある人
病変やケガの治療が完了してからの検査が望ましいため、治療が可能な医療機関を受診しましょう。
妊娠中・授乳中の人
妊娠中の人は、赤ちゃんへの放射線被曝の点からマンモグラフィー検査はできません。授乳中や断乳後にまだ乳汁分泌が続いている人は、圧迫により母乳が出てしまうことからマンモグラフィー検査はできません。40歳以上であれば、通常は授乳が終了したところで乳がん検診を検討します。
乳汁の異常な分泌がある場合は医療機関を受診しましょう。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房造影MRIや乳房超音波検査(エコー)による検診を検討します。タオルや替えの母乳パットや下着などの準備、事前に母乳を空にしておくことなどが必要になります。
乳房造影MRIの場合は、造影剤の母乳移行が気になる場合は、検査後1〜2日間ほどの母乳については授乳を避けて下さい。
乳房超音波検査(エコー)の場合は、授乳期特有の乳房の変化によって、通常期の乳房より検査精度に影響が出ることをご了承下さい。
心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器ICDなどの医療機器
「心臓ペースメーカー」や「植え込み型除細動器ICD」などの医療機器が前胸部にある場合、マンモグラフィー検査の乳房圧迫によって医療機器本体やリード(電線)がずれて、機能障害を起こす可能性がありますので、マンモグラフィー検査による乳がん検診はお勧めできません。
また、体内に医療機器があることからMRIは実施できません。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房超音波検査(エコー)による検診を検討します。
乳房インプラント、生理食塩水バッグ、シリコン注入など
乳房インプラントや生食バッグが挿入されていたり、豊胸術などでシリコン液が注入されていたりする場合、挿入されているインプラントなどの損傷の可能性といった危険性や、所定の検査方法が適応できないことによる検査精度の低下の可能性から、マンモグラフィー検査による乳がん検診はお勧めできません。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房造影MRIや乳房超音波検査(エコー)による検診を検討します。
中心静脈カテーテル・ポートの鎖骨下への埋め込み後
鎖骨下中心静脈カテーテル・ポートが鎖骨下に埋め込まれている場合、挿入されているポートやカテーテルが損傷したりずれたりして使用できなくなる危険性や、所定の検査方法が適応できないことによる検査精度の低下の可能性から、マンモグラフィー検査による乳がん検診はお勧めできません。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房超音波検査(エコー)や乳房造影MRI(MRI対応ポートの場合)による検診を検討します。
「放射線やマンモグラフィー検査による有害反応」が起こる人
リ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群など、一部の遺伝性疾患や放射線過敏症の場合は、放射線被曝により通常より有害な身体への影響が出やすいことから、マンモグラフィー検査はできません。
以前のマンモグラフィーで「耐えられない痛み」があった人などは、マンモグラフィー検査はできません。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房造影MRIや乳房超音波検査(エコー)による検診を検討します。
男性
マンモグラフィー検査はできません。
乳がんのスクリーニングが必要な場合、乳房超音波検査(エコー)による検診を検討します。