不整脈とは
WHAT IS ARRHYTHMIA
不整脈とは、脈拍が乱れた状態のことをいいます。脈がとぶような不整脈、脈が遅くなる不整脈、脈が速くなる不整脈がありますが、いずれも症状がある場合もない場合もあります。治療しなくても問題がない不整脈も多いですが、中には治療をしないと倒れてしまうような不整脈もあります。
脈が速くなる不整脈は動悸や胸の不快感、失神などの症状が起こることがあります。その中でも心房細動は脳梗塞を起こす危険性もあるため早期に発見することが重要です。脈が速くなる不整脈に対しては内服治療やカテーテルアブレーション治療、植え込み型除細動器によるデバイス治療があります。
脈が遅くなる不整脈はめまいや失神、息切れ、むくみなどの症状が起きることがあります。症状の原因となる時はペースメーカー植込みによる治療が必要となることがあります。
脈がとぶ不整脈には動悸や胸がつまる感じ、胸の不快感などの症状があります。ほとんどは心配いらないことが多いですが頻度が多い場合は治療が必要になることがあります。
カテーテルアブレーション治療(心筋焼灼術)
CATHETER ABLATION TREATMENT
カテーテルアブレーションは、太ももの付け根の血管を介して心臓の中にカテーテルを入れて不整脈を誘発しその機序を調べ不整脈の原因となっている発火点や回路を同定し、その発火点や回路を高周波で焼き切ったり冷凍で冷やす治療法です。
主に、頻脈性の不整脈が治療対象で房室結節リエントリー頻拍 (AVNRT)、房室回帰性リエントリー頻拍 (AVRT)、通常型心房粗動、特発性心室性頻拍、発作性心房細動に施行しています。また、心臓内の興奮伝播をより微細に解析できるCartoシステムを利用して複雑な心臓外科手術後の心房頻拍や、発作性心房細動に対してもアブレーションを行っています。
当院は平成30年4月より不整脈専門医研修施設の認定を取得しました。カテーテルアブレーションに関しては全国的にも特に心房細動症例に対する施行が増加してきており、当院でも積極的に取り組んでいます。
クライオアブレーション(冷凍アブレーション)
CATHETER ABLATION TREATMENT
当科では平成30年から高周波でのアブレーションだけでなくクライオアブレーション(冷凍アブレーション)も施行できるようになりました。
当院は透析患者さんが多く、 透析中のみ心房細動となりバイタルが崩れたり、徐脈となって透析がうまく回せなくなる患者さんに対してもアブレーションを行っております。
術後透析が安定して行えるようになったと報告もいただいています。
カテーテルアブレーションのメリット
MERIT
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01動悸発作を抑える・内服薬を中止できる
不整脈の発火点や回路に直接障害を与えることで不整脈を根治できる可能性があり、動悸発作を抑えられたり、不整脈に対する内服薬を中止できます。
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02身体への負担が軽い
開胸手術をする必要がないので治療を受ける患者さんの身体への負担が軽くなります。
デバイス治療
DEVICE TREATMENT
デバイスとは、体内に植え込むタイプの治療機器のことです。不整脈の治療には様々な植え込み型のデバイスを使用します。
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01ペースメーカー植え込み術
徐脈性の不整脈を対象にペースメーカー植え込みを行っています。
●リードレスペースメーカー/ヒスペーシング
徐脈性心房細動患者に対してリードレスペースメーカーの植え込みを、また自己伝導能を直接刺激することで、ペーシングによる心機能低下を予防すると言われているヒスペーシングも行っています。
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02植え込み型除細動器
心室頻拍や心室細動といった致死性不整脈の治療に欠かせないICD(植え込み型除細動器)の植え込みを行っています。加えてCRTとICDの機能を併せ持つCRT-D植え込みも行っています。
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03心臓再同期療法
薬物療法抵抗性の心不全に対して特殊なペースメーカーであるCRT(心臓再同期療法)を行っています。
薬物治療
DRUG TREATMENT
抗不整脈薬剤を組み合わせ治療します。
当院の診療体制
MEDICAL TREATMENT SYSTEM
熊本中央病院ではカテーテルアブレーション治療を専門の医師の他、看護師、臨床工学技士がアブレーションチームとして行っています。
循環器内科部長
森久 健二 Kenji Morihisa
専門分野:循環器一般・不整脈
- 日本循環器学会専門医
- 日本不整脈心電学会専門医
- 日本内科学会総合内科専門医・認定医
院外応援医師(熊本大学病院)
星山 禎 Tadashi Hoshiyama
専門分野:循環器一般・不整脈
- 日本循環器学会専門医
- 日本不整脈心電学会専門医
- 日本内科学会指導医・総合内科専門医・認定医
脈が遅くなったり、脈が速くなる等気になる症状がありましたら、まずはかかりつけの病院やクリニックの先生に当院の循環器内科外来へご紹介いただいて下さい。
外来日については外来担当医師表をご覧下さい。