TAVIとは
WHAT IS “TAVI”
装着する人工弁 サピエン3
Trans-catheter Aortic Valve Implantation の略で、日本語に言い換えると「経カテーテル的大動脈弁留置術」となります。
重度の大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法で、従来の外科手術とは違って、胸を開かず、また心臓を止めずに細い管(カテーテル)を使って患者さんの心臓に人工弁を装着します。高齢である、他の併存疾患を持っているなど外科手術のリスクが高い方に行う治療です。
大動脈弁狭窄症とは
WHAT IS “TAVI”
心臓の大動脈弁の開きが悪くなり血液の流れが妨げられてしまう病気です。大動脈弁が狭くなると左心室から大動脈へ血液を送りにくくなり、左心室が肥大します。その状態が長期に及ぶと左心室の収縮力が低下して心不全となります。頻度は、65歳以上で罹患率が3~5%・潜在患者数は100~150万人と予想より多いといわれています。
大動脈弁狭窄症は無症状での期間が長いですが、胸痛や呼吸苦、失神など自覚症状が出現すると急激に悪化してしまう病気です。症状が現れた患者さんの半数が2年以内に死亡するともいわれ、早めの診断、治療が重要です。治療の選択肢としては外科手術、TAVI、内科的治療(内服治療)が挙げられます。
TAVI治療
TAVI TREATMENT
鼠径部(大腿部)の動脈から、あるいは左の脇(心尖部経由)からカテーテルを介して人工弁を植え込みます。
TAVI 治療動画
実際の植込み後のイメージ
TAVIのメリット
MERIT
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01身体の負担が少ない
胸を大きく切開することなく、心臓を止めずにカテーテルで人工弁を装着します。
そのため、従来の開胸手術に比べて傷が小さい、出血が少ない、手術時間が短いなどのメリットがあり、患者さんの体の負担が少なくてすみます。 -
02早期復帰が可能
術後の回復が早いため日常生活の早期復帰が可能となります。
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03弁膜症の新しい選択肢
年齢やその他疾患などによるリスクなどの理由で、外科手術を諦めていた患者さんへ新しい選択肢になります。
TAVIの適応対象者
重度の大動脈弁狭窄症があり、年齢や他の疾患のリスクを持っているなどの理由で外科的手術が困難な患者さんが対象です。
- ご⾼齢の⽅(おおむね80歳以上)
- 過去に開胸⼿術を受けたことがある⽅
- ⼤動脈が⾼度に⽯灰化している⽅
- 胸部の放射線治療後の⽅
- 頸動脈狭窄や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝硬変などの合併症がある⽅
- ⾎液疾患、1年以上予後が期待できる悪性腫瘍合併の⽅ など
当院の診療体制
MEDICAL TREATMENT SYSTEM
熊本中央病院ハートチーム×ハイブリッド手術室
当院では高度な技術を要する先進的治療をより安全により確実に行うために、医師のほか看護師、臨床工学技士、放射線技師など各専門分野から集まったハートチームで診断治療を行います。
TAVI適応かの判断は、外来受診→検査→ハートチームのカンファレンス(治療法を選択)といった流れで決定します。チーム全員でそれぞれの患者さんに一番適した治療法を検討し、シミュレーションを行い、術後管理まですべてのプロセスを行います。
2018年4月、県内で3番目に完成したハイブリッド手術室は、高性能の心臓血管X線装置、可動性の高い手術台、高精細な大型モニターを備えており、TAVIや極めて高度な医療技術が必要な難しい症例にも対応が可能となりました。従来に比べ造影剤使用量やX線被ばく量を低減できるといった特徴があり体の負担が少なくなります。
私たち大動脈弁狭窄症のスペシャリストが
万全の態勢でTAVI治療を行います
循環器内科
六反田 拓 Taku Rokutanda
専門分野:循環器一般・虚血性心疾患
- 日本循環器学会専門医
- 日本内科学会総合内科専門医・認定医
- 日本心血管インターベンション治療学会認定医
- 心臓リハビリテーション指導士
- 植込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療(CRTD)研修証
心臓血管外科部長
新井 善雄 Yoshio Arai
専門分野:成人心臓血管外科全般/
弁膜症・大動脈瘤・狭心症・虚血性心疾患
低侵襲心臓手術
経カテーテル弁膜症手術
大動脈ステントグラフト手術
- 心臓血管外科専門医認定機構(3学会合同)専門医、修練指導者
- 日本外科学会専門医
- 日本血管外科学会認定医
- 腹部大動脈ステントグラフト指導医
- 胸部大動脈ステントグラフト指導医
- 経カテーテル的大動脈弁置換術指導医、プロクター
医学博士 - 京都大学学外講師
麻酔科部長
前川 謙悟 Kengo Maekawa
専門分野:麻酔科一般
- 日本麻酔科学会指導医・専門医
- 日本心臓血管麻酔学会専門医
大動脈弁狭窄症の治療は、今後TAVIによって今まで以上に適応が拡がり、多くの患者さんに恩恵が得られると考えます。胸痛や息切れ、失神など気になる症状がありましたら、まずはかかりつけの病院やクリニックの先生に、当院の循環器内科外来へご紹介いただいてください。
熊本中央病院 循環器内科外来
平日(月曜~金曜) 受付時間:午前8時~午前11時まで