Da Vinci

Da Vinci
ダビンチ

より正確に より安全に
次世代手術ロボット

熊本中央病院のDa Vinci手術

日本でのロボット支援鏡視下手術は、2009年にIntuitive社のDa Vinci(ダビンチ)が認可されて以降、現時点で約750台が導入されており(Factsheet_Intuitive_24July)、全国に広く盛んに行われています。当院では2024年3月から稼働を開始しました(Da VinciXi)。前立腺がん、直腸がん、肺がん、縦隔腫瘍を中心に各科で積極的にロボット支援鏡視下手術を行っています。全国的には同規模の病院としてはやや遅れた導入ではありますが、その分、様々なノウハウやテクニックを含めた膨大な情報を最初から持つことができ、さらに当院に赴任したロボット手術の経験のある医師から生きた指導を受けて順調にスタートすることができています。

ダビンチが従来の腹腔鏡・胸腔鏡下手術と決定的に違う点は、腹・胸腔内の手術器具に“関節”があることです。これまで直線的なアプローチしかできず、名人芸的な工夫が必要であった箇所に、“関節”があるおかげで最適な角度からアプローチができ、さらにコンピューター制御による“手ぶれ補正”によって、より安全で精密な操作が可能になりました。また、術者は術者専用のモニター+機器コントローラー(サージョンコンソール)で術野のスコープと手術器具を操作して最適な視野を確保し、肉眼視をはるかに超える高精細3Dハイビジョンの拡大視による精密な画像を見ながら、さらに細かな手術操作を行うことができます。特に、これまで視野の確保や最適な機器のアプローチが難しかった骨盤内手術ではその利点が存分に発揮され、より正確な病巣の切除や神経、血管を含む周囲臓器の温存が可能となり、手術の質の向上をもたらしています。

ダビンチの短所は、機器のセッティングのため従来の内視鏡手術と比べて麻酔時間が長くなることです。10分程度ですが、間質性肺炎や心疾患など基礎疾患があり、麻酔時間を少しでも短くしたい症例では従来の手術を選択することもあります。また、縫合や血管の結紮は、ダビンチの器具を動かす力が非常に強いこともあって、やや苦手な手技です。しかし、これらの課題は、テクノロジーや機器の進化と術者の経験と技量を磨くことによって克服が可能です。

ダビンチはこれまでにない手術の可能性をもたらし、現代の外科手術では、特に若手外科系医師にとっては、欠かせないテクノロジーとなっており、標準的な術式になりつつあります。しかし、この能力(性能)を存分に、かつ安全に生かせる環境と基本的な技術が無ければ価値がありません。熊本中央病院は、先達が醸成した文化を礎に、新しい技術や考え方を、新しい世代が新しい力で果敢に、柔軟に、積極的に取り入れながら、さらにこれを改善し続けています。熊本中央病院では、ダビンチを操る外科医は技術的な鍛錬を絶やさず最新の技術を貪欲に吸収し、麻酔科医師、手術室看護師、臨床工学士のみならず、病棟看護師・外来看護師、医療安全管理室、感染管理室、地域医療連携室、医事や広報などの事務職を含めた多種多様な部署が一堂に会するミーティングを頻繁に行い、良いコミュニケーション保ち、協働して常により良い手術を提供できるように全力を尽くしています。

呼吸器外科部長 丸塚 孝

対象疾患・専門医のご紹介

  • 肺がん
    スタッフ写真

    呼吸器外科
    丸塚 孝
    Takashi Marutsuka

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  • 前立腺がん
    スタッフ写真

    泌尿器科
    原 一正
    Kazumasa Hara

    矢印アイコン
  • 消化器がん
    スタッフ写真

    外科
    齋藤 誠哉
    Seiya Saito

    矢印アイコン

Da Vinci手術の特徴(メリット)

  • 01
    狭い術野でも良好な視野と適切なアプローチが可能で安全性が向上

    直線的なアプローチしかできなかった鏡視下手術とは違い、ダビンチは体腔内に関節をもつことで操作の自由度が大幅に増し、狭い分野でも理想的で無理のない角度からのアプローチが可能となりました。
    また、狭い骨盤内手術でもスコープと鉗子が干渉することが減り、良好な視野が確保され、安全性はかなり向上しています。

  • 02
    テクノロジーを駆使したより繊細で正確な手術操作

    高倍率モニターの拡大画像を見ながら執刀医がコンソールから遠隔で支援ロボットのアームについている専用カメラや鉗子を操作します。
    外科医を悩ませる「手ぶれ」に対してもテクノロジーにより補正されるためより精緻な操作を実現させています。

  • 03
    患者さんの体への負担が軽減

    ダビンチ手術は胸腔鏡・腹腔鏡手術と同じく腹部に数か所の小さな穴を開け、そこにカメラや鉗子などを挿入して手術を行います。従来の開胸・開腹手術と比べ傷口が小さく出血量も抑えられます。術後の疼痛も軽度でスムーズな離床が可能となり、入院期間の短縮も期待できます。

  • 04
    熟達した術者による施術

    当院では鏡視下手術に熟達した専門医達が認定資格を取得し、多くのトレーニングを重ねダビンチ手術に臨んでいます。また外科医だけでなく、麻酔科、看護師、臨床工学技士など各分野のエキスパート達がトレーニングを積み手術をサポートしています。

Da Vinci

Q&A

Q.ロボットが自動で手術するのですか?
A. 「ダビンチ」は操作する人がいないと動きませんし勝手に動きだすこともありません。操作するのは所定の訓練を受けた認定医になります。医師の技術を補助するのがロボットになります。
Q.安全性は?
A. ロボット支援手術は十分な訓練を経て認定を受けた医師のみが行うことができ、器械自体にも正常な動作を維持する機能が数多く備わっています。手術に携わるスタッフも訓練を積み、徹底した安全管理の元に行われます。しかしロボット支援手術に限らず、全ての手術にはリスクが伴いますので、事前に十分に医師の説明を受けてください。
Q.入院期間は?
A. 手術の部位や範囲によって異なりますが、従来の開胸・開腹手術に比べると短くなる傾向があります。傷口が小さいため回復が早く、多くの患者さんの術後経過は良好です。
Q.手術費用はどのぐらいかかりますか?
A. 当院で行うダビンチ手術は健康保険証が適用され、高額療養費制度も利用できます。詳しくは当院医事課へお尋ねください。

外来受診のご案内

Da Vinci Da Vinci
当院では現在、前立腺がん、肺がん、結腸がん、直腸がんに対してダビンチ手術を行っています。しかしながらすべての手術に対してロボット手術が適用できるわけではありません。当院では全身状態の検査を行ったあと患者さんやご家族とよく話し合い、患者さんの病態やステージ、既往症など総合的に判断して、より適した治療法を決定してまいります。
まずはかかりつけ医からのご紹介状をご持参のうえ、外来の各科担当医へご相談ください。
受付時間 午前8時~11時
呼吸器外科:水 / 泌尿器科:月~金 / 外科:月~金
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