放射線治療について

放射線治療について

がん治療では、手術・抗がん剤治療・放射線治療、免疫療法が四大治療として確立されています。 放射線治療は、放射線を患部に照射して治療する局所治療です。

放射線は、がん細胞内の遺伝子であるDNAに損傷を与え、がん細胞の増殖を抑制します。細胞分裂を繰り返して大きくなるがん細胞は、正常細胞よりも放射線の影響を受けやすく、DNAの損傷を起こしやすくなっています。また、正常細胞は放射線によって傷つけられたとしても、損傷を修復させる力ががん細胞よりも強く働き、がん細胞よりも生き延びることができます。

このがん細胞と正常細胞の感受性の違いによって、がんを治したり、がんの増大による痛みなどの症状を緩和したりします。

放射線治療の利点は、臓器に形態、機能を温存することが可能であり、患者さんの負担が少なくQOL(Quality of Life:生活の質)を低下させることなく行うことができる治療手段であることです。

当院では、現在主に次のような病気を治療しています。
<肺がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、尿管がん、大腸がん、転移性脳腫瘍(全脳照射)、転移性骨腫瘍など>

装置紹介

当院では2015年1月より、外部放射線治療装置のエレクタ社Synergy®が稼動しました。

この装置は、深部の病巣を治療するのに適した10MVの高エネルギーX線、表面に近い病巣を治療するのに適した4MVの低エネルギーX線、2つのX線の間のエネルギーの6MVX線という3種類のX線を発生させることができます。また、表在病巣に対する放射線治療に適した5種類の電子線も発生させることが可能で、病巣に合わせた放射線を選択することが可能です。
外部放射線治療装置

このSynergy®のXVI(X-ray Volume Imaging)は、診断に用いられる電圧でX線撮影やCTを撮影することが出来ます。その撮影した画像で骨、軟部組織や病変を確認できるため、照射の位置精度(照射部位の正確性)を向上させることが可能となりました。(image-guided radiotherapy:画像誘導放射線治療)

また、Synergy®に搭載されているAgility™は、5mm幅、80対160枚のリーフを有する高精度、高精細マルチリーフコリメータで、複雑な形の病変にも放射線を正確に照射する一方で、健康な正常組織に照射するリスクを減らすことが可能になりました。
外部放射線治療装置

副作用について

放射線治療に伴う副作用・合併症は、放射線治療の部位、照射面積、照射線量、照射期間などに影響され、その症状出現には個体差があります。
大きく分けると急性(急性期)障害と晩発(晩期)障害に分けることができます。

  • 急性(急性期)障害とは、放射線治療の照射中および照射後から遅くても2、3ヶ月以内に現れてくるものです。代表的なものとして、全身的には疲労、倦怠感、発熱、食欲不振、吐き気などがあります。局所的には、皮膚炎、脱毛、潰瘍、味覚障害、肺臓炎、膀胱炎、尿道炎、腸炎などがあります。(これらは放射線の照射部位に関連した症状が出ます。)
  • 晩発(晩期)障害とは、長期間の潜伏期を経てから発症するものです。代表的なものは、皮膚乾燥、色素沈着、腸炎、まれに放射線肺臓炎、骨壊死、発がんなどがあります。

放射線治療施行前に治療医から、放射線治療に伴う副作用・合併症について、その症状・発生頻度・転帰などについて十分に説明いたします。

当院での放射線治療は、常勤の放射線治療専門医、放射線治療品質管理士、医学物理士、放射線治療専門放射線技師、看護師が一つのチームとして治療を行っています。

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