高血圧の食事・心臓病の食事
1.体重をはかりましょう。

ご自宅に体重計がありますか?

体重をはかることで、食事の摂取エネルギーと活動量が見合っているかを知ることができます。一日に何度も はかるのではなく、毎日同じような時間帯(例えば、朝の排便後や入浴時など)にはかり、日ごとの差を見ていくことが大切です。表やグラフにして記録するのもよいですね。

まずは、適正体重やBMIでご自分の体格の現状を把握しましょう。

体重が増える、または「肥満」の状態が続いているのは、活動量に対して食事の摂取エネルギー量が多い場合です。食事内容や日常の活動量を見直して、少しずつ適正に近付けましょう(極端なダイエットは危険です。計画的に減らすことをお勧めします)。体重が減ると血圧が下がりやすくなり、心臓への負担も少なくなります。ただし、浮腫(むくみ)で体重が増える事もありますので、急に何kgも増えた場合には、必ず主治医に相談してください。

反対に体重が減るのは、活動量に対して食事の摂取エネルギー量が少ない場合、または炎症や他の病気により必要なエネルギー量が増している場合です。急な体重減少がある場合は、原因を含めて医療機関に相談しましょう。

「やせ」の場合でも、どんどん減っているのではなく、今の体重が維持できていれば問題ないこともありますが、食事内容を確認してみましょう。

2.塩分を摂り過ぎていませんか?
  • 塩分を摂り過ぎると、血圧を上げることにつながります。
  • 高血圧の方の塩分摂取目安量は、1日6g未満となります(1食2g未満)。
  • 塩蔵品(梅干し、漬物、佃煮など)、加工食品(ちくわ、ウインナーなど)、インスタント食品には多くの塩分が含まれますので注意しましょう。
  • めん類は汁やつゆを残すと上手に減塩できます。
  • 汁物はなるべく具だくさんにしましょう(水分が減ると調味料が少なくても美味しく食べられます。また、野菜のうま味も出てさらに美味しく仕上がります)。
  • 何にでも醤油をかけるのは控えましょう。
  • 酢、香辛料、生姜、ごま、しそなどで風味豊かにすると、うす味でも美味しく食べられます。
  • 味覚には「慣れ」が大きく関わりますので、外食や総菜を食べて、「味が濃い」と感じるようであれば、ご自宅の味付けがうす味にできている目安になります。
3.主食、主菜、副菜をそろえてバランスをよくする
主食(ご飯、パン、めん)

体にも脳にも欠かせない炭水化物を多く含みます。特に、日本型食生活(和食)の基本である主食(ご飯)を減らしすぎると元気が出なかったり、空腹感から主菜や間食が増える場合がありますので注意しましょう。

1日3食の場合、男性200~250g、女性150~200gが1食のご飯の目安です。

主菜(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品のおかず)

たんぱく質を多く含みます。同時に脂肪も多く含みますので、摂りすぎは肥満につながります。肥満や脂質異常症がある方は、食べ過ぎが無いか確認しましょう。

1食にどれか1皿、調理前で手の平1/2程度が目安です。

副菜(野菜、海藻、きのこのおかず)

ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含み、いいことづくしの食べ物です。一日の目安量(300g以上)を満たすには、 毎食調理した状態で握りこぶし1個分が目安です。 サラダだけではなく、和え物、酢の物、煮物、炒め物などいろいろな調理方法で季節感も楽しみましょう。

4.脂肪の量と質に注意し、動脈硬化を予防する(動物性脂肪の摂り過ぎに注意)
  • 脂肪は大切な栄養素ですが、摂り過ぎには注意が必要です。質が良くても悪くても、エネルギー量が多いので、脂肪の摂り過ぎが肥満につながります。
  • 脂肪の摂取目安量は、肉や魚や乳製品をはじめとする様々な食品中に含まれる量と、調理に使う量を合わせて1日に40~50g程度です(1日のエネルギーの20~25%)。 調理での目安量は、1日10~20g(大さじ1~2杯)となります。
  • 動脈硬化を促進する飽和脂肪酸を多く含む肉類、乳製品の使用量が多い人は、魚や大豆製品に変える、調理には動物性のバター、植物油の中でもマヨネーズやサラダ油、マーガリンなどを一価不飽和脂肪酸の多い(酸化しにくい)オリーブ油やキャノーラ油に置き換える程度にし、適量を守ることが大切です。
  • 加工食品や、菓子類にも多くの脂肪が含まれますので、注意しましょう。

    ≪油(脂肪)の多い料理≫
    カレー、グラタン、ハンバーグ、トンカツやから揚げなどの揚げ物、ハンバーガー、ピザ、ラーメン、チャーハン、スパゲティなど

    ≪油(脂肪)の多い食品≫
    ウインナー、ベーコン、ハム、バラ肉、チーズ、生クリーム、チョコレート、アイスクリーム、 菓子パン、調理パンなど

5.野菜を毎食摂って、ビタミンや食物繊維を十分補う
  • 野菜、果物にはビタミン類、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれます。
  • ビタミン類は人間の体にとって「潤滑油」のようなものです。体の調子を整えてくれます。
  • ミネラルの中には、血圧を下げる効果のあるものもあります。
  • 食物繊維は、満腹感を与え便秘の予防、改善にもつながります。
  • 傷ついた(酸化)細胞の修復をしてくれるのがビタミンCです。間食にはお菓子ばかりでなく、果物を取り入れるのもよいです。
  • 野菜は毎食、果物は1日1回を目安に、積極的に取り入れましょう。
6.飲酒はほどほどに。休肝日を作りましょう
  • アルコールの摂り過ぎは、食べ過ぎや肥満につながります。また、肝臓への負担も大きくなります。
  • 日本酒、焼酎なら1合、ビールなら350ml×1缶程度が目安です(必ず飲酒可かどうか医師と相談してください)。
  • 量が増えすぎないように、1日に数種類のお酒を飲まないようにしましょう。
  • お酒は「エンプティ・カロリー」=「空っぽの栄養素」と言われます。生きていくうえで必要な栄養素を含まないため、食事とは別物と考えます。
  • お酒を飲んでも食事(特に主食)は抜かないことが大切です。
7.三度の食事をきちんと摂り、余分な間食を減らす
  • 1日3食、なるべく欠食しないようにしましょう。欠食すると、次の食事の過食や、間食が増える事につながります。
  • 和菓子には砂糖類が、洋菓子には砂糖類と脂肪が多く含まれます。肥満や他の生活習慣病にもつながりますので、摂り過ぎに注意しましょう。
  • 遅い夕食や夜食は、胃や腸に負担をかけます。また、肥満につながりますので、どうしても遅くなる場合は、途中で軽いもの(おにぎりなど)を摂ったり、夕食を消化によいものにしましょう。
8.よくかんでゆっくり食べる
食事を食べるのが早い人に肥満が多くみられます。ゆっくりよく噛むことで、満腹感が感じられるようなります。噛み応えのある食材を使ったり、家族で会話を楽しみながら、ゆっくり食事を楽しみましょう。
9.適度に体を動かしましょう
  • 最近は、どこに出かけるにも自動車で移動するので、歩く時間も少なくなっています。できる範囲で運動を取り入れたり、家事など小まめに体を動かす機会をつくりましょう。
  • 心疾患をお持ちの方は、運動の程度を主治医と相談しましょう。
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