心臓弁膜症 しんぞうべんまくしょう(大動脈弁膜症、僧房弁膜症)

疾患概要

心臓内で血液の流れを一定方向に、かつスムースに流れるようにするため、心臓には4つの弁があります。成人の場合には大動脈弁や僧帽弁などの左心室にある弁が悪くなることが多く、それに引き続いて右心室の三尖弁にも問題が起こることがあります。

以前はリウマチ熱によるリウマチ性変性を来たした僧帽弁狭窄症、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症などが多かったですが、最近ではリウマチ性の弁膜症が減少し、動脈硬化性の大動脈弁狭窄症や変性が原因の僧帽弁閉鎖不全症が増加しています。

大動脈弁膜症

1.大動脈弁狭窄症

近年は動脈硬化性の大動脈弁狭窄症が増加しています。高齢化とも相まって高齢者の大動脈弁手術が増加傾向です。

2.大動脈弁閉鎖不全症

通常は大動脈弁置換術を行います。近年は自己弁温存手術が試みられることがあり、当院でも若年者に対しては大動脈弁形成術も試みています。

僧帽弁膜症

1.僧帽弁狭窄症

小児期のリウマチ熱が原因で時間をかけて僧帽弁が硬くなります。弁が開かなくなるので血液が鬱滞して心不全になります。リウマチ熱の減少とともに僧帽弁狭窄症も減少しています。弁置換術を行います。

2.僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁自体やその支持組織(腱索)の問題で、弁がきちんと閉じなくなります。

僧帽弁は左心室との関連性が高く、左心室の拡張などでも僧帽弁閉鎖不全が生じる場合があります。(機能的僧帽弁閉鎖不全症)

年齢や弁の状態を考慮して、弁形成か弁置換かの術式を選びますが、我々はほとんどを弁形成術で治しています。

この疾患に対応する診療科
心臓血管外科 循環器内科
波線